「月見をしよう」 「頭沸いたのですか会長。今日は新月です」 「……キャラちがくないか、お前」 「真夜中に叩き起こされたんです。機嫌最悪です。理由も最悪です。寮に帰って寝て良いですか?」 「眠れない俺を差し置いて寝ているお前が悪い」 「嫉妬ですか、醜いですね。永眠してみます?」 「だから月見しよう」 「話がかみ合ってませんよ。あと二度目ですが今日は新月です」 「きちんと食べ物もって来たぞ」 「はぁ……じゃあそれ食べたら寝ましょう。それと団子はプレーンか醤油しか認めません」 「は? 何でダンゴ?」 「月見と言えば団子でしょう」 「え?」 「え?」 「……そんな決まりあったのか?」 「いえ、決まりじゃなくて定番で……何です、その袋は」 「ナッポーだ」 「なっぽーだ? 何ですかそれ」 「ナッポーはナッポーだ。ほれ、此れだ」 「あぁ、パイナップルでナッポーですか……死語じゃないですか?」 「なん、だと!?」 「で、そのパイナップル如何するつもりですか。というか団子の代わりにパイナップルかよと言いたいんですけど」 「食べるに決まってるだろ」 「どうやって?」 「まるかじり」 「痛いと思いますよ」 「何でだ」 「え、硬いし棘っぽいの付いてるでしょ」 「ナッポーは軟らかいぞ」 「それは中身で外側は硬いんじゃ」 「ナッポーの祖と革って何だ」 「え、それですよ」 「ナッポーの祖は革なのか?」 「え?」 「え?」 「……何か今日は特に会話がかみ合わない気がします」 「会話は噛み合わないだろう」 「え?」 「え?」 「……駄目だ、今日はもう色々と駄目な気がします。もう何もかも放置して寝ましょう」 「月見する為に起きたのにもう寝るのか」 「ですから新月ですから、今日」 「真月がどうしたんだよ。さっきから意味分からないぞ。にしてもこの部屋からじゃあ月は見難いな……」 「いえ、新月に月は出てませんから」 「は? 真月だったら本当の月が出てるんだろう?」 「え?」 「え?」 「……会長、ちょっと其処に正座してください」 「え、何でだよ」 「いいから」 「へいへい。で、何だ」 「一先ず新月の日に月は出てません」 「だから何でだよ。本当の、真実の月が出るんだろう?」 「はいストップ。ナンデスカ、その真実の月は」 「だから真実の月だよ」 「意味が分かりません。じゃあ普段見てる月は偽者なのですか?」 「違うのか?」 「……会長、貴方実は馬鹿なんじゃないんですか」 「何だと!? 俺はとっても頭の良い生徒会長だぞっ」 「でしたら新月ぐらい知っておいてください。新月とは月が見えない日です」 「何で見えないんだ」 「光の角度とか見える角度とかそんな感じです」 「確度?」 「はい」 「確認で何で見えなくなるんだ?」 「え?」 「え?」 「頭が痛くなりました。寝ます」 「あ、おいっ。だから月見っ!」 「一人でやっててください」 「逃がすかっ!」 「ちょ、何するんですか! 離れなさいっ」 「にがさねぇ! 一緒に月見すると約束するまでにがさねぇ!」 「とりあえず圧し掛からないでください、重いです。それと月何て無いのに月見してられません。本能のままに寝させていただきます」 「俺は月見がしたいんだーー!」 「失礼しまーす。会長、副会長、徹夜して書類を捌くのは良いですけど、騒ぎは……」 「「あ」」 「……失礼した」 「「ちょ、誤解だっ!」」 |