朝と夜は繰り返す。
望もうとも、望まなくても。 もう、幾度の太陽を見たんだろう。 幾度の月を見たんだろう。 逃げ出してからかなりの日数がたった。 奇跡的に私は旅を続けられた。 指名手配されていても、 嘗ての仲間に追われても。 何故か遭遇したのは一度だけで、 捕まるような事は無かった。 そうして私はたどり着いたのだ。 祭壇へと続く、聖域に。 何の為かなんて、 誰の為かなんて、 分かりきっているほど分かっている。 私は私の世界の為に、 私は彼の命を差し出したくないから。 だから、やってきた。 世界に恨まれ様とも構わないと。 彼に嫌われる覚悟を抱いて。 眼前に広がる森を見据える。 てにもつのは血のような赤い輝きを持つ石。 この石は何人の神子の血を吸ったのだろうか。 この森の中心にある祭壇は幾度差し出された神子を受け取ったのか。 伝承になるぐらいの時間はどれだけの時間だろうか。 過去の犠牲と、 未来の犠牲と、 現在の犠牲。 過去の犠牲は必要だったのかはわからない。 未来の犠牲を必要とするのかは分からない。 現在の犠牲を私は認められない。 だから、祭壇を壊そうと思う。 石を使用し、森の中へと。 そして祭壇へ。 其処で、私は祭壇を壊そうと思う。 きっと其れは世界の人々にとっては悪だろう。 それでも私は、実行しようと思う。 祭壇がどんな物かは知らないけれども、 作られた物だったらきっと、破壊できるよね。 真直ぐ前を見据え、私は歩く。 森の手前に立つ。 掌に乗る石が輝く。 気がつけば、沢山の光があった。 聖域と呼ばれる森から光の粒が空へと上がっていく。 掌の石が宙に浮かんでいる。 光の粒が渦巻きく。 美しい光景だ。 幻想的な光景だ。 あぁ、此れは…… きみが見たはずの奇跡。 其れを君が居ない場所で、私が見ている。 結界は解かれた。 後は、入るだけ。 森へと足を踏み入れる。 そんな瞬間。 私は聞いた。 私の名を。 愛しい人の声を。 覚悟が揺らいだ。 幻聴だ、自分に言い聞かせる。 けれど、もしも本当だとしたら…… 背後から腕が回される。 抱きしめられた。 温もりを感じた。 「捕まえた」 低い声。 懐かしいその声色に、 私は泣きたくなった。 |